○リハビリ
子供たちとの出会い
大会が始まる1週間前、ユーゴスラビアの選手とスキー場で衝突し、ひざの内側、側副じん帯の断裂という経験をしました。
もうそれで大会の出場はなくなります。
上の選手が風邪をひいたり、おなかが痛くて出場できないよと言っても、もうその選手には回ってこない、次の選手にいってしまう・・・。
実は私のことなのですが、22年間スキーしかやってこなかった選手が、
コースを横切った心ない選手のおかげで、
ひざの内側じん帯を損傷してもう試合には出られない。
それの手術をするのに、サラエボから一度日本に帰ってきて、
カルガリーにひざの名医がいるというので、カナダへ行きました。
その名医というのはアメリカのUCLAの先生でしたが、その方が僕のひざの手術をしました。
はれも引いて手術が終わった後、コンコンと病室に入ってきて、
「ヘイ、優司どうだい。君の膝はもう選手としては使い物にならない。
スキーのひざというのは圧力がかかったときに、足首はブーツで固定されている。
ひざに約2トンの力がかかるが、その2トンの力を支えるだけのじん帯は、おまえのひざにはもうない。
したがって、選手としては使い物にならない」。
そう言われたときに、すべての人生を、人格を否定されたような気がしました。
「おまえはもう生きてても意味ないよ」と言われたような気がしました。
つらかったです。
22年間ずっとスキー一筋でやってきて、その人格をすべて否定されたんですから。
次から雪の上に立っても、そのひざではもう滑れない、
選手としては無理だと言われた瞬間には涙が出なかった。
でも病院の中を暴れまわりました。
といっても、片足を手術したわけですから、びっこを引いてバーっとがむしゃらに暴れまくった。
22歳ぐらいの若い選手です。
体力も腕力もあります。
カーテンを引きちぎり、ベットのシーツをまくり上げる、とんでもないやんちゃをします。
看護婦さんがドクターを呼びに行って、
「日本人が大変なことになっている、ドクター、来てくれ」。
ドクターがつかつかと入って来て、
「優司、これからリハビリテーションルームに行こう。おまえのひざをリハビリするためだから」
といって、連れて行かれました。
ここよりももう少し広い部屋です。
そこに行って、ガチャッと中をあけて見ると、
小学校5年生か6年生ぐらいの子供が7人か8人、中で一生懸命リハビリをしています。
その子供たちは手がない、片目がない、顔が半分ない、片足がない、両足がないという子供たちでした。
皆さんも、ベトナム戦争で使われた地雷のことを聞いたことがあると思います。
ここにボルビックのボトルがありますが、キャップの下の部分くらいの大きさの地雷が地面に植わっています。
このくらいで大体250円から300円でできる。
その地雷が地面にこう植えてあります。
その上にミニカーとかお人形が置いてある。
わかります? 拾い上げるのは子供なんです。
「あっ、ミニカーがあった」、バン、「あっ、お人形があった」、バン。
そして、その地雷は殺傷能力の非常に弱いものなんです。
人を殺すためのものではないんです。
このくらいの、2センチから3センチくらいのふたの中に、約5ミリくらいに刻んだ針金が入っています。
持ち上げた瞬間に、その針金が下からバーン。
殺傷能力は低いので傷つけるためだけにある。
子供はベトナムやアフガニスタンにとって非常に有益な労働力です。
その労働力の片腕を取ってしまうだけで、2人分の労働力を消すことができる。
残虐、情けないぐらい残虐です。
講演依頼はシステムブレーン で
Copyright(C) 2007 スポーツトレーナー櫻井優司 All Rights Reserved. |